恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第23章 秋 in 恋愛 / 🌊
1年前——。
暑さはまだ残るけど、日に日に秋の気配が姿を現し始めた時の事……。
「沢渡です。冨岡先生でしたよね?半年間だけですけど、よろしくお願いします」
ここはキメツ学園の職員室。私は着任の挨拶を先程すませて、隣のデスクに座っている男性教師にそう声をかけた。
「ああ…よろしく」
少しだけ小さめの声で返事をしてくれる彼。体育教師らしく、上下に青いジャージを着ている。
「七瀬、久しぶりだなァ」
「あ、実弥くん!元気そうで良かった。何?相変わらず胸元はだけてんの?」
「うっせェ、突っ込むなァ」
私の右隣には幼稚園、小学校、中学校と同じ時間を過ごした実弥くん。いわゆる幼馴染。実家同士も近くて、小さい頃はよく遊んでいた仲だ。
「玄弥くんも高等部にいるんだよね?早く会いたいなあ」
「お前が来るって伝えたら、すげえ嬉しそうにしてたぞォ」
玄弥くんは実弥くんのすぐ下の弟。3人で隣町まで探検に行ったり、公園で遊んだり、山に行って虫取りに付き合わされたり……と、姉妹しかいない私には新鮮な事ばかりで。
2人の下にいる小さな弟、妹達ともよく遊んだんだよね。
あの時は髪も短かったから、小さい頃はよく男の子に間違えられる、なんて事もあった。懐かしいな。