恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第21章 令和の師範と継子 ② / 🔥
「2人とも、とても楽しそうですね?槇寿郎さん」
「そうだな、瑠火さん」
千寿郎が「凄い…」と感激している右横で、夫婦は共に感想を伝えあっていた。
「100年前もきっとこのような勝負を繰り広げていたと思う」
「あなたはそんな時にお酒に溺れていたんですよね?」
瑠火に鋭く突っ込まれ、ウッと言葉に詰まる槇寿郎。
「……仕方ないだろう。炎柱ノ書の事と、君が亡くなった事が重なったんだ」
「それでも槇寿郎さん……10年以上閉じこもるのは、流石に長すぎだと私は思います」
再び言葉に詰まる槇寿郎。
彼は瑠火の隣にいる千寿郎に目線で助けを求めるが、息子は杏寿郎と七瀬の対決に夢中。
よって、槇寿郎が出すSOSのサインには全く気づきそうにない。
『千寿郎……頼む、助けてくれ…!!』
「槇寿郎さん」
「う、うむ。何だろうか……」
息子に目線で訴えてはいたものの、それはやはり届かず、背中に冷や汗が流れて来た。
「はい、どうぞ」
自分達の後ろに置いてあるクーラーボックスから瑠火が取り出したのはカップ酒で、2つ持っている内の1つを槇寿郎に渡す。
「良いのか?昼間から飲んでしまって……」
「今日は特別ですから」
彼女はにっこりと笑った。