第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴
師範の義勇は確かに素敵だと思うが、口数が少ない。
開いたと思えば言葉が不足しているので、どう言った目的で発言しているのか、すぐに判断する事は難しいと七瀬は続ける。
「それでも一緒に暮らすようになって…まだほんの数日だけどさ。師範がどうして一人になりがちなのかなんとなくわかるようになった気がするの」
「…」
「師範って心の中では凄く考えてるけど、口に出す言葉はその半分もないんじゃないかなあ。そう考えると自分の中でストンと落ちてね」
「…」
「そこはまあ私達継子が察して、周りに師範はこんな人なんですって伝えていく役目なのかなって…炭治郎? どうしたの? お団子食べすぎてお腹痛いの?」
「いや、平気だ」
「? なら良いんだけど…どうしたの?」
炭治郎は七瀬が義勇の事について話すのを聞きながら、心の中がもやもやと仄暗い渦のような感情がだんだん大きくなっていくのをしみじみと味わっていた。
義勇の継子に希望通りなれた。これはとてもありがたいし、嬉しい事だ。彼の事はもちろん尊敬もしている。
「そうだな、義勇さんの良い所を伝えていくのは俺と七瀬の役割だ」
「そう? 炭治郎も同じ気持ちで良かったよー。じゃあこれからも私達はその姿勢で…」
「俺…七瀬の事、好きだ! 物凄く! だから…義勇さんの事好きなのかどうか、気になってさっき聞いた」
「…」
二つの呼吸を使えはするが、恐らく今の自分では義勇と戦ってもすぐに勝負がついてしまう。それは仕方がない。
しかし、目標とする人物が身近にいる事で自分には何が足りないか、何が必要かを考える事が出来る。
「少しずつでも必ず強くなる。今より強くなっていつか必ず義勇さんにも勝ってみせる。だから…それを俺の隣で見届けてくれないかな」
「…」
「七瀬が…大好きなんだ」
「炭治郎…」