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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴



「これと…これか!? よし、合ってる!!」

「炭治郎、凄い! これで連続四枚だね」

七瀬が提案した方法 —— それは令和で言う【神経衰弱】だ。上の句と対になっている下の句を裏向きに同じ数で並べて、表にめくりながら合わせていくやり方である。

四つ分けた山の内、今二人は男性作者が書いた恋の歌に取り組んでいるのだ。

「大正の今はさ、炭治郎もさっき言ってくれた通り、女性は恋の話が好きって浸透しているけど、百人一首の時代は男の人の方が恋について話したり、語る事が多かったのかもね」

「男性作者の恋の歌、本当多いもんな」

「炭治郎はどの歌が好き?」

「えっ? 俺か? 急に言われてもすぐには答えれないんだけど…」

神経衰弱が終わり、二人は札を見ながら今度は好みについて話し始めた。七瀬に問われた炭治郎は手元にある札を一つずつじっくりと読みながら、考えていく。

恋が成就する歌と悲恋の歌。自分はどちらが好きなのだろうか、と。

「これかな」

「どれー?」

【忍れど色に出で(いで)にけり わが恋は ものや思ふ(う)と人の問ふ(う)まで】

「隠していても やっぱり態度に出てしまった私の恋。周りから恋をしているのでは?と言われるまでに思いが溢れている…そんな意味だっけ。作者は平兼盛(たいらのかねもり)で、四十番かあ。炭治郎の感性、凄く良いね!」

「七瀬は、義勇さんの事が好きなのか?」

持っていた札をすっと七瀬の目の前に差し出す炭治郎は、どこか不安げな様子だ。

突然の質問に呆然とする彼女の右手をゆっくりと掴み、それから手のひらへ静かにのせる。

そこには四十番の和歌が書いてある上の句と下の句が一枚ずつあった。

「し、師範? …うん、素敵な人だなって思うよ」

「やっぱりそうだよな…」

「待って、まだ続きがある。自分の中で完結させないで…!」

札を両手に一枚ずつ持った七瀬は姿勢を正し、言葉を続けた。



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