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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴



七瀬が以前の出来事を思い出していると、パシン!と札が弾かれる音がした。
シン、と一瞬だけ室内を支配する静かな時間だ。

「今回の優勝は….」














「では水柱様、沢渡さん、失礼致します」

「行き帰り、背負って頂いて本当にありがとうございました」

「…世話になった」

二時間後、二人は産屋敷邸から水柱邸へ帰宅していた。
門扉をくぐると、いつもの見慣れた風景が水の柱と継子を迎えてくれる。炭治郎はまだ戻ってないようだ。

「師範、お疲れさまでした….お見事でした。私胸がいっぱいになりました」

「….」

静かに歩く義勇のすぐ後ろから七瀬は声をかけた。
炭治郎の願い通り、第二回の百人一首は義勇の優勝となったのだ。

「私、終わった後すぐに炭治郎に今までの経過を書いた物と結果を文で送ったんです。きっと喜んでくれるんじゃないかな」

「沢渡は炭治郎が好きなのか?」

「あ、はい。もちろん好きですよー! 彼の事を嫌いな人ってあんまりいないんじゃないかと….」

「そうか」

それから一歩二歩と義勇の足が進んだが、三歩目で彼の歩みがとまってしまった為、七瀬は彼の背中に顔を打ちつけた。

「わ、もう! 急に止まらないで下さい! びっくりします」

「俺は好きだ」

「やっぱりそうですよね! 師範は炭治郎の事大好きですよね。知ってます….」

「違う、炭治郎じゃない」

「え? そうなのですか?」

七瀬の頭の中には炭治郎が寂し気な笑顔を浮かべて、そうかあと呟く姿が見えた。

あんなに慕っている義勇から違うと言われたのを知ったら大層落ち込むだろうなと心配している。

「炭治郎、凄く師範の事を慕っているのに…違うって言うのはひどくないですか?」

「違う、そうじゃない。炭治郎の事は…大切だ」

「良かったー! 私も大切な継子仲間ですよ。同じですね」

「いや、そうではない」


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