第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴
「水の呼吸・陸ノ型」
ねじれ渦を放った七瀬は、連撃である打ち潮を強めの回転攻撃で絡めとるかのごとく、相殺をしていく。
「(波のうねりが重い! それでも絡め取らなきゃ…!)」
表情を歪めながら何とか肆ノ型に対応した彼女。次の一手に出る前に義勇の木刀を弾いて一旦後方に下がる。
「壱ノ型・水面斬り!」
そこへすかさず、炭治郎が基本の型である壱ノ型を義勇に放った。
カン、と木刀と木刀が合わさる。水柱は弟弟子の型を難なく払い、突きを一回。
「くっ…」
「炭治郎! 大丈夫?」
水面斬りは放った後に一瞬だけ隙が出来てしまう。
みぞおちを突かれた炭治郎だが、その反動を使ってくるりと後方に回転して、衝撃を和らげた。
「平気だ! すぐ呼吸を整えるから、七瀬は攻めてくれ!」
胸に右手を当てながら息をする炭治郎は、義勇の落ち着いた対応に改めて感心する。
「(義勇さんはやっぱり強いな…でも、この人に必ず一撃を入れるぞ!!)」
攻めてくれと言われたものの、考えなしで動くのは絶対に危険だ。
七瀬は木刀を改めて構え直して思案をする。
「(私の予想以上だった。彼は本気で相手をしてくれている…何とか一撃入れる好機を作らなきゃなんだけど、水柱の隙って…どこ?)」
彼女の目の前には表情を全く変えない義勇がいる。そして木刀を構える姿は殆ど隙が見当たらない。
「(わかんないなら、作るしかないか…)」
水の呼吸 ———
スウ、と息を整えた七瀬は参ノ型を放った。
流流舞いは水が流れるような足運びを駆使しつつ、攻撃をしながら回避をする事が出来る。
複数の方向への攻撃が可能になる為、相手の隙を狙うと言った事も不可能ではないはずだ。
「…っ!!」
「…」
徐々に義勇との間合いを詰めていく七瀬だが、水柱の一振りにひゅっと喉がなった。
カンと木刀同士が小気味よく響くと、そのまま打ち合って行く二人。
「(力を入れてるように見えないのに…何でこんなに一太刀が重いの…!!)」