第70章 七支柱春药 〜弍〜 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿
「んぅ、ぎゆ、さ…」
「どうした」
「なんか…あなたに触れてもらうの…凄く、好き、かも」
「そこは断定で、良いだろう」
「…はぁ…やっ…!!」
じゅっ、じゅっ、と義勇が強めに乳輪を吸うと、しなやかに七瀬の背中が反った。
丸く熟したそこには彼の唾液がねっとりと絡みついている。
「お前のここは…甘味のようだ」
「舐めちゃ…はぁ…」
「…良いの、だろう」
「んっ!、」
きゅっとそこがつまみあげられると、二度程こすられた七瀬の体に甘美な痺れが走った。
「七瀬、正直に言え」
うん、うんと声に出す代わりに頷いた彼女の目尻に涙がたまる。
一度ぎゅっと瞳を閉じると、両の目から雫が静かに流れ落ちた。
そこへ柔らかな口付けが二度程あった。義勇の愛撫だ。
「俺はやはりどうかしている」
「えっと、あの…今言う所です、か?」
「…お前が」
「私が何なのですか」
静かに流れた涙は義勇の予想外の発言により、ピタリと止まってしまった。しかし、七瀬の心の中は彼が次に何を言うのか。
それが気になってたまらない。
「…おしい」
「? おしいって、残念って事?」
「違う、そうじゃない」
「じゃあ、もう少し大きな声で…言って、下さい」
「承知した」
果たして今は本当に情事中なのだろうか。七瀬は普段より行動が読めない兄弟子を見ながら、そんな疑念もふつふつと湧いている。
沈黙がほんの少しあり、義勇の口から先程言ったであろう言葉が繰り返された。
「俺はお前が愛おしい」
これが恋人同士の関係であれば、堪らなく嬉しく幸せな瞬間だろう。しかし、今の義勇には媚薬と言う血鬼術がかかっている。
まともに受け取ってしまうのは危険だろう。
「嬉しい、です」
それでも七瀬は彼に礼を言った。術にかかっていようとも口から放たれた言葉は今この瞬間だけは、きっと真実なのだから。