第70章 七支柱春药 〜弍〜 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿
ちう、ちうと唇同士が合わさる音が室内に響いている。
普段は同門の妹弟子と兄弟子の関係の二人だが、今の彼らはそれよりも更に深い男女の関係だ。
何も身に纏っていない二つの体には、それぞれ大小様々な傷がある。
「まだ残っていたのか」
「え…急に何ですか」
ここだ、と義勇の指で触れられた場所は普段衣服で隠れている右肩だ。該当の箇所をちらと見た七瀬の表情が柔らかい物になった。
「ふふ、一ヶ月前の鍛錬中でしたね。この傷が出来たのって。ホントに痛かったんですよ。大分薄くなったけど…確かにまだありますね」
七瀬と義勇の視線の先には右腕と肩の境目。そこには硬貨一枚分の青アザが鎮座していた。
「あの時思ったんですよね。義勇さんと蟲柱の突きはどちらが速いんだろうって」
「胡蝶だろう。俺の突きは大した事はない」
大した事ないなら、ここにこんな痕はもうないだろう。七瀬は喉元まで出かかった反論を静かに飲み込んだ。
普段ならば忌憚なく発言していたかもしれない。
しかし、今は情事中である。
「んっ…」
「次はもっと早く対応しろ」
「はい…」
アザに義勇の唇が触れた瞬間、七瀬の体が小さく震えた。
そこから広がっていくのは彼を求める欲だ。ドキ、ドキと緩やかに加速する心臓の鼓動が何とも心地よい。
「…いいか」
じっと七瀬の瞳を静かに見つめる義勇は、ゆっくりと端正な顔を近づけてまた口付けを始めた。軽く触れ合わせた後は舌を差し込んで深く、濃厚な愛撫へと変化させる。
そうしている間にも彼の掌は七瀬の首から鎖骨を辿っていき、乳房をゆっくりと包み込みながら ———
「んっ…、気持ちい…」
「先日も…はぁ、そう言っていたな」
やわやわと七瀬の胸に触れた後、先端の尖りを交互に舐めてねっとりと味わう義勇はハアと息を吹きかける。
「俺もお前のここに触れるのは、心地、いい…」