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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第70章 七支柱春药 〜弍〜 / 🌫️・💎・🌊・🐍・🍃・🔥・📿



「気持ち良いのか?」

「はい、これ好きです」

「そうか」

ふっと微笑んだ義勇は七瀬の髪に、小さな口付けを落とした。

「お前の髪は柔らかいな」

「そうですか? 普通だと思いますよ。義勇さんの髪は、なかなかしっかり…してますね」

自分を見下ろしている義勇の髪に右手を伸ばした七瀬は、その硬さに少し驚いた。
確かにこの硬さなら自分の髪質は柔らかいと判断されても仕方がない。

「義勇さんのこの無造作な髪型が好きって人、周りにかなり多いんです」

「お前はどうなんだ?」

「え、私、ですか?」

「そうだ」

考えた事もなかった ——- とは言えないので、彼女は咄嗟に意見を絞り出す。

「…嫌いではないですね」

「…そうか」

ほんの少しだけ声の抑揚に変化があった気がする。七瀬は義勇の髪にあてていた右手を動かした。

やはりしっかりとした髪だ。

「思ったんですけど、椿油を塗ったら手触りが柔らかくなるんじゃないですか? 村田さんが愛用してるらしいですよ。だからいつもさらさらしている気がします」

「あいつがか?」

「そうです…ってあれ? 村田さんを知ってるんですか」

同期だ —— と言う義勇の言葉を聞いた七瀬は意外だと言う気持ちと、そう言えば村田も同じ水の呼吸の使用者だったなと言う気持ちが同じくらいに、胸の中に浮かぶ。

「私は合同任務を数回一緒にやった事があって。村田さん話しやすいし、市中の事もよく知ってるので、よく情報を貰うんです」

「そうか」

義勇は呟いたきり、静かになる。何か彼が黙ってしまうような事を言ってしまったのだろうか。

七瀬は小さく首を傾げながら、義勇の髪を手で梳いていく。

「お前は村田と仲が良いんだな」

「まあ、悪くはないですね…んっ、義勇さ…」

ちう、ちうと軽く唇を吸われたかと思えば、考える間もなく義勇の舌が七瀬の口腔内を確認するようにうごめいた。


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