第4章 不協和音の奥に眠る愛
二人はすぐに打ち解けて屋敷の中では家族のようにしたの名前で呼ぶようにすることとなった。
そして、お互いを知るためと互いに身の上話を始めた。
りのは心地よい雰囲気を纏っており、
気を遣わせぬよう淡々と話す美玲に時おり涙を浮かべては、うんうんと頷いては、受け入れ労い励ました。
対して りの は、一度結婚はしたものの、子が授からず離縁され、以後、家族を鬼に殺されたことで鬼殺隊士専属の使用人として経験を積んできたという。
故に子どもを連れた女性の隊士が来るということをとても心待にしていた。
孝太郎はりのから"挨拶の贈り物"として渡された木製の色とりどりな駒に目を輝かせ眺めている。
「ですから、わたしをここでの母と思って沢山甘えてくださいまし。そのために"選んで戴けた"のです。」
「え?」
「口止めをされていましたが、わたしをお二人にあてられたのは月柱様でございます。
彼は見た目は仏頂面ではございますが、御優しい方です。
お二人が暮らす分で何不自由のないようにとお母上様と同じ雰囲気で使用人歴が長い女性としてわたしを選んでくださったようでした。」
不意に孝太郎の頭を撫でた時の巌勝の様子を思い出す。
そして今聞かされた事実と合わさって胸のおくから暖かくなるような感じがした。
「それならば、なおのこと仲良くいたしましょ!
師範にもわたしが早く柱になることで恩を返していかねばなりません!」
「その意気です!お支えします。」
家は開けることが多くなる志事を生業とするこの先に、
りのがいてくれることに安心を感じたのだった。