第4章 不協和音の奥に眠る愛
「師範の生きる様と、戦う姿勢、生き方、私は一番近くにいて学びとうございます。
私は師範の次にこの家を、有栖川家を継いでいきとうございます。
勿論、民を守れる人々を我々で増やしていくのがこの家の使命である事を存じております。」
視線を微塵も反らすことなく燃えるように言う様はまるで景勝のようで、幼さを感じないモノ。
そこに居合わせた大人は皆が驚き、言葉を失っていた。
(孝太郎.....そこまで.....。しかし.....)
ふと、幼き頃の自分を思い出す。5歳にて剣術を習いたいといった己に父はしっかりその意を聞き、快く教えてくれたことを。
「孝太郎。前々から孝太郎の熱意は身にしみて感じております。しかし、今回はこちらが世話になるのです。
あちらの方々に聞いてみて住居やそのほかのものがどうあるのかを聞いてからでなければハッキリとは今返事を返す事は出来ません。
そして、鬼狩りは夜が仕事ゆえに、ひとりで寝なければいけない夜が多くあります。
わたしがおらぬ間はわたしはあなたを守れません。
それでもですか?」
「はい。師範の返答を待ちます。お返事がいただけないのなら私も同席させてください。」
もはや、大人と見間違うほどの気迫にむやみに突き返すことが出来なかった。
「解りました。頼んでみましょう。」
「有難き幸せにございます!!」
大人たちが、成長した孝太郎を一様に優しい目で見る中、妹の桜だけが不満げに表情を歪めていた。