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――流星――【鬼滅の刃】

第1章 出会いと別れ



ダッダッダッ

「待ちなさい!聖!逆上するな!」

聖は失敗から逃げたかった。
父親が失敗と言う言葉を使ったのは意図してでは無い。聖がここまで失敗という言葉を険悪しているとは思っていないし知らなかったのだ。

一番下の優が生まれて一刻もしないうちに母親を無くしてしまい、その時から

『自分が体の弱い父の代わりになってみんなを守らなければ』

という強い思いが芽生えていた。

『みんなを守るためには絶対に失敗は許されない。
失敗する者は家族を守れない。
ただの約立たずだ。』

と知らぬうちに己への暗示をかけていた。母親が死んでからもう五年程は経っているが未だにそのことは忘れたことは無い。
何処にいようとも。







聖は天野家の墓の前にいた。夜なので少し薄気味悪かったが、ここには母が眠っている。ここに来れば少しは落ち着けるかもしれないと思った。

『お母さん、私、ちゃんとお母さんの代わりできてるかな……
今日失敗しちゃったよ……絶対しないってお母さんに誓ったのに。こんな娘は幻滅するよね。失敗するし、約束も守れない。こんなやつもうどうしようもない。
……ちょっと生きるのに疲れちゃったかな……ずっと気を張りつめてるのも大変だね。やっぱお母さんみたいにはなれっこないよ。尊敬するなぁ。』











その頃天野家には迷い人が来ていた。

「夜分遅くに申し訳ありません……少し道に迷ってしまいましてね……会社の契約の相談に来て自然を楽しんでいたのですが……辺りが暗くなってしまってどうしようかと思いましてね。お宅から漏れている光が見えましたのでお伺いしました。」
「それはそれは、お困りでしたことでしょう。うちで良かったら1晩お泊まりになっては如何ですか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えさせていただきます。」

その人の名は月彦と言った。東京の浅草にある会社の社長様らしい。よく見ると高そうな洋服を着ていて背がスラリと高く、顔立ちも整っている。

「では月彦さんはこのお部屋をどうぞ。何も無いですが、」
「いえいえ構いませんよ。元はと言えばこちらが突然来てしまって、お気づかいなさらずに。」
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