第1章 出会いと別れ
「チッ……」
『まてッ!!!!!鬼舞辻!!!!!』
「お前さんよォ、もう諦めよ。」
『でもっ!』
「さっきも言ったように今のお前と俺じゃダメだ。
お前名前は?」
『どうせ聞いてたんでしょう?私の名前は天野 聖です。』
天野……やっぱりどっかで聞いたことある名だな
「俺は不死川 実弥だァ。
聖、お前はあの男を殺したいか?恨んでいるか?」
『ッ!……勿論だ。ぶち殺したい。家族の仇をとりたい。』
「……」
恐らくこいつは戦闘時に男のような言葉使いになんだろォなァ。
「いいぜ。なら着いてこい」
俺は走り出した。コイツにはどれほどの体力が、筋力があるのかを簡単に走らせることでわかる。
『あのぉ、家族の埋葬をしてきたいんですけど……』
!?幾ら俺が加減しているからとはいえ、足が随分と早い……
そしてこいつ、呼吸を使ってやがる……!どういうことだァ?!
『えっとぉ……聞いてます?』
「あっ、いやっすまねェ、お前の家族なら俺の部下達がやってるから心配は要らねぇ。」
『あ、さいですか……』
あとでお参りさせてもらおう。
というかこの人偉い人なの……?部下って……
失礼なこと言ってないかな?!
『あのぉ、触れてほしくないんなら二度と言いませんけど、なんでそんなに傷だらけなんですか……?そして腰のもの……刀……ですよね?』
「ア"ァ?」
『アッ、ハイ、ソウデスヨネッ!モウニドトイイマセン!ワスレテクダサイ!』
「……ちげぇよ。これは……その……くせだ、癖」
『へ……?癖、とな……?』
癖……癖かぁ……。随分と迫力のある癖だなぁ……
「……」
『えっと、差し支えなければ教えてくれませんか?腰の物と身体中のキズについて――って、あたっ!』
あれっなんか止まったぞこの人
「ったく、前見ろお前ェ。着いたぞ。」
そこは大きな豪邸と言える程の屋敷の前だった。こんな町はずれに建っているけどお金持ちなんだろうな。甘い匂いがする。
『ここは、不死川さんの家かなんかですか?』
「いや、違う。同僚の家だ。」
『その方に用があるんですか?』
「お前がな。」
『……は?』
そんなことを言っていると不死川さんがズカズカと屋敷の中に入って行く。
「胡蝶ー!いるかー!」
不死川さんは同僚の方を呼んでるっぽい。
それにしてもこの屋敷、異様な程に蝶が多い。甘い匂いの原因はこの蝶かな。