第5章 守りたいもの 錆兎
それから数日が過ぎた。
今日は合同任務だと聞いたけど、誰と一緒なんだろう。
言われた場所へ来てみると、獅子色の髪の、よく知っている後ろ姿を発見した。
「錆兎!」
私が名前を呼ぶと、驚いたようにパッと振り向いた錆兎。
「紗夜、お前か」
「今日一緒だね、よろしく」
「あぁ、よろしく。合同任務は久しぶりだな」
「そうだね、1ヶ月ぶりくらいかな」
「今日の任務、聞いてるか?」
「うん、鬼の仕業かもって言うのなんだよね」
「あぁ、ハッキリしなくてやな感じだな」
聞いた所によると、今いるここの雑木林の横の道で、最近通行人が突然姿を消すという事件が起こっているそうだ。
それも一件ではない。
何件も。
「神隠しみたいだな」
「神隠しじゃ無かったら…やっぱり鬼…?」
「いや、人攫いの可能性もある。この辺り調べてみるか」
取り敢えず、雑木林の周辺を歩き回ってみる。
辺りを見回しても人一人いない。
最近はもうここを通る人は殆どいないそうだ。
「鬼の気配は…無いね」
「人が潜んでる感じも無いな……仕方ない、中入ってみるか」
うっ…、やっぱり…そうなるよね…
陽が傾き始め、辺りは薄暗くなってきた。
目の前の雑木林は鬱蒼と木々が生い茂り、不気味な雰囲気を醸し出している。
こういう所…やっぱり嫌い。
なかなか足を踏み出そうとしない私を見て、錆兎はフッと笑った。
「怖いか」
「うぅ…だって、出そうじゃん!見るからに!見えてはいけないものが!」