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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第5章 守りたいもの 錆兎


「ゆっくりしてってねー」

運び終えた女将さんは、私達の席を離れ、そのまま別のお客さんの食器を下げに向かった。

義勇は鮭大根を前にぱぁぁっと目を輝かせ、いただきますもそこそこに、パクパクと食べ始めた。

「義勇はほんとに鮭大根が好きだねぇ」

私がそう言うと、食べながら話せない義勇はコクコクと頷く。

「義勇はいつも鮭大根だしな」
「それは私達も一緒だけどね」
「まぁ、ここの店ではな。でも義勇はどこ行っても鮭大根だ」
「あ、そっか。そういえば」

修行時代もよく鱗滝さんに作ってもらってたなぁと懐かしんでいると、真菰が義勇にとんでも無い事を言い放った。

「でも義勇、この世から鮭大根が無くなっちゃったら大変だね。どうする?」

義勇はもぐもぐしながらも顔は青ざめていた。
鮭大根が無くなるなんて…考えただけでゾッとする。
そう思っているんじゃないかと思う。

「他のものも食べれるように練習しとこうよ。今日は私の親子丼と交換してみるとか。どう?」

にこにこと笑いながらびっくり仰天な提案をする真菰。
義勇は物凄い嫌そうな顔をしている。
「ちょっと真菰ってば…」と私がアワアワしていると、

「こら真菰。義勇が嫌がってるだろ。それに、義勇は鮭大根が無い店ではちゃんと別の物も食べられるから大丈夫だ。それから…お前本当は鮭大根の味見がしたいんだろう?だったら義勇にちゃんとそう言えばいい」
「えへへ、バレちゃった。ごめん義勇」

何だ、そう言う事かと私と義勇は目を見合わせて笑った。

小皿をもらい、義勇がそこに鮭と大根を一切れずつ乗せる。

「ほら、これでいいか?」
「ありがと義勇ー。親子丼もちょっと分けてあげる。はいど〜ぞ」
「あぁ、ありがと」

義勇と真菰がおかずを交換するのを見届けてから、私と錆兎も食べ始めた。

「紗夜、半分こにしよう」
「うん」

だし巻き玉子を錆兎が半分に分けてくれた。
でも元々そんなに食べる方では無い私は、結局半分も食べ切れなくて、私が残した分は錆兎が食べてくれた。




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