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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第4章 初めてのキスはレモン味 伊黒小芭内


月城は頬を薄ら染めて、びっくりしたようにそのまま固まってしまった。


「嫌だった?」
「ううん、あのね…変な事言っていい?」
「ん?」

「伊黒くんに触れられると、なんかドキドキする」


月城は少し恥ずかしそうに、目を逸らした。


「でもね、嫌なドキドキじゃなくて、もっと触れてほしいって言うか…。
さっき抱きしめてもらった時も、すごく安心できるって言うか…。
…伊黒くんといると心地が良いの…
どうしよう……私……わっ⁈」


俺は、もう一度月城を抱きしめた。

そろそろ言いたい
ずっと我慢していた、俺の気持ちを




「俺は……月城が好きだよ」

「え⁈」




顔は見えないが、月城は物凄く驚いているようだった。

「…本当?」
「あぁ、お前に彼氏がいたから言えなかった。ずっと言わずにこのまま終わるんだと思ってた」

「そっか…嬉しい」


月城は俺の背中に手を回すとぎゅっと抱きついてきた。
俺も抱きしめる腕に力を込める。

もうこのまま、月城を自分のものにしたいと思ってしまう。
けれど、今はそれではいけないと自分に言い聞かせた。


「…伊黒くん…わたし「月城、返事はまた今度でいい」
「え?」

身体を離すと、月城は訳がわからないといった様子で俺を見つめる。
そんな月城に、俺は微笑みかけた。


「今のお前は少し心が弱っている。
そんな時に優しくされると、人は目の前のその人に縋りたくなるものだ。
俺はそういう弱った所につけ込むような事はしたくない。
だから、落ち着いてからまた返事を聞かせてくれ。
俺は、ずっと待ってるから」


月城は納得したのか「分かった」と素直に頷いた。

「じゃあ、伊黒くん。ひとつだけお願い聞いてくれる?」
「ああ、何だ?」
「あと一回だけ…ぎゅってしてくれる?」

一瞬驚いたが、俺はフッと笑って承諾した。

「了解」

今日はこれで最後だぞと、俺は月城を抱きしめる。
月城はふふっと嬉しそうに笑った。

「ちゃんと考えて、返事するね」
「あぁ、待ってる」


もしも月城の答えが俺の望むもので無かったとしても、俺は受け入れる覚悟だ。
だから今だけは、この温もりを堪能させてくれ。

この温もりを忘れないように、俺は暫くの間、月城をそのまま抱きしめ続けた。



俺達の側を、また数台の車が通り過ぎて行った。





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