第4章 初めてのキスはレモン味 伊黒小芭内
「でもさ、あそこまで言わなくても良くない?重いとか……鬱陶しいって……何それ。そう思ってたならもっと早く言ってくれれば良かったのに……そしたらさ、こんな……」
「月城…」
月城の目に涙が溜まっていく。
「あんな人のためにっ…時間割いて…私、もう……バカみたいっ…!」
我慢の限界が来たようだ。
溢れ出る涙が、頬を伝って流れていく。
「もう…やだぁ…っ…」
気付けば身体が勝手に動いていた。
俺は泣いている月城の手を取り己の方へ引き寄せると、両腕で月城の身体を包み込んだ。
「!…伊黒くん……」
「泣け、月城。好きなだけ。俺が全部、受け止めてやるから…」
「っ……ひっく…うぅっ……っ……」
「頑張ったな」
「…うんっ…」
「偉かったな」
「…っ…伊黒くっ…っ…」
俺は月城の身体をぎゅっと抱きしめると、よしよしとあやすように頭を撫でてやった。
月城は俺のコートをぎゅっと掴んでいた。