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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第4章 初めてのキスはレモン味 伊黒小芭内


11月に入った。

月城は今日もいつも通り、至って普通に仕事をこなしている。

10月末が彼氏の誕生日だと言っていたが、渡したのだろうか。
渡したのだとしたら、どんな心境で…
ダメだ、気になり出すと色々考えてしまう。
今は目の前の仕事に集中しよう。


「伊黒さん!これ教えてくださぁい!」

ここへ来て2ヶ月、竹下のこれも大分減ってきたように思う。
今は午前の業務、今日はまだ2度目だ。
普通ならきっと大変喜ばしいのだろう。
しかしあの話を聞いてから、どうしても後輩の成長が素直に喜べない自分がいる。

確かに香水の香りはするが、これを瀬田もつけているのか。
いや、まず瀬田と竹下は面識はあるのか?
そこが分からなければ色々考えてもどうしようもないが……あまり聞きたくない。
そんな事俺が聞けば、なんでそんな事聞いてくるのかと色々突っ込んできそうだ。
それは嫌だな。

俺はアレコレ考えつつ、竹下にあーだこーだと教えながら午前の業務をこなしていった。











就業時間の17時半。

帰り支度を始める者、今日は残業だと引き続き仕事を続ける者、バラバラと人が動く時間である。

俺は少し仕事が残ってしまった。
今日は金曜日だし、できるなら終わらせてから帰りたい。

「伊黒さん、今からこの間と同じメンバーで一緒に飲みに行くんですけど、一緒に行きません?」
「胡蝶すまん、まだ残ってる仕事があるんだ。30分ほどで終わるからそれから合流でもいいか?」
「分かりました。では、この間と同じお店で先に行って待ってますね」

胡蝶が去ろうとしたその時、


「あ、伊黒さん!ちょっといいですかぁ?」
「竹下か、何か用か。もう帰るんじゃないのか?」
「もぉつれないですねぇ。実はちょっとお渡ししたいものがあるんですよぉ」

そう言うと、もたもたとガサゴソ鞄の中で何かを出そうとしている竹下。


なんなんだ俺は早く飲みに行きたいお前に構っている暇はない。


俺はその間頭の中で、この一文をひたすらループさせた。





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