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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第4章 初めてのキスはレモン味 伊黒小芭内


「じゃ、仕事しますか」
「そうだな」


月城は冨岡と竹下を見ながら小さくため息をついた。
月城にしては珍しかった。

こんな月城を置いて会議に行くのは、何となく心苦しい。

俺は自分のポケットからあるものを取り出す。
気休めだが少しでも気分が変わればいい、そう思った。


「月城、手を出せ」
「え?」


差し出された手のひらの上に、ポンと一つ、あるものを乗せてやる。


「これ、飴?」
「こんなもので悪いが、今これしか持ってなかった」
「くれるの?ありがとー!食べていい?」
「あぁ、因みに俺も今舐めてる」
「え⁈全然気付かなかった!」
「だろう?会議中もきっとバレない。マスクとは便利なものだな」
「マスクってそういう風に使うんだっけ?」


月城は俺のやった飴玉をコロンと口の中へ入れると、「あ、レモンだ。美味しい!」と笑った。


少し元気が出ただろうか。
月城の笑顔が見られてほっとした。


「じゃぁ、俺はそろそろ行く」
「うん、行ってらっしゃーい!」


手を振り俺を見送る月城。
俺も片手を上げオフィスを出た。







廊下を歩きながら、さっきの月城を思い出す。
月城の笑った顔、手を振る姿が頭から離れない。
これは…なんだ?


俺の胸の中で、妙にくすぐったいような、甘酸っぱい気持ちが広がっていた。


月城にあげたレモン味の飴みたいに…




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