第3章 君の笑顔が好きだから 煉獄杏寿郎
「君は、温かいな…」
「杏寿郎さんも、あったかいです」
普段の隊服や着物とはまた違う、夜の寝間着の薄い布越しに伝わる温もりが心地良い。
自分とは違う、女子の身体の柔らかさもモロに感じられ、なんとも胸が高鳴ってしまう。
「眠れるか?」
「…杏寿郎さん、あの……」
「どうした?」
「昨日出来なかったアレを…」
「アレ…とは?」
「………口付けしてもらえたら眠れそうです」
「………よもや!」
「はしたないですね私!ごめんなさい!」
「いや、そんな事は…!」
まさか紗夜の方から言い出すとは……
そう言えば昨日一度お預けを食らってしまっている。
出来るものなら……したい!
「いいのか?」
「…はい」
羞恥と期待の入り混じった眼差しで俺を見つめる紗夜。
頬がほんのりと色付き、それが俺の欲情を煽る。
腕枕をしていた身体を少しずらし、紗夜に覆い被さるようにすると、コツンと額をくっ付けた。
「好きだ、紗夜」
「私も大好きです、杏寿郎さん」
紗夜の唇に、ゆっくりと己の唇を重ねた。
なんて幸せなのだろう。
紗夜との初めての口付けは、幸福感で胸がいっぱいになった。
紗夜の唇は思った通りとても柔らかく、癖になりそうだ。
離れ難くて、角度を変えながら何度も唇を重ねる。
ちゅっと音を立て唇を離すと、紗夜は嬉しそうに微笑んでいた。
「杏寿郎さん、もう一回して?」
「眠れなくなってしまうから、あと一回、な?」
「ふふっ、はい。……んっ…」
結局一回で終われなくて、あともう一回を三回ほど繰り返した。
満足したのか紗夜は俺の腕の中でぐっすりと眠っている。
そのあどけない寝顔に、俺の心がぽかぽかとあったかくなった。
可愛いなぁ…いつまでも見ていられる。
そう思いながら紗夜の寝顔を堪能していた。
好きな女を腕に抱いて、今日は胸がいっぱいで寝られないかもしれない。
そんな事を思ったが、紗夜の温もりの心地良さに、俺もいつの間にか眠りについていた。