第3章 君の笑顔が好きだから 煉獄杏寿郎
時折見せる紗夜の作り笑顔。
心配掛けないようにと気を使う姿に、時々胸が苦しくなる。
もうそんな事しなくていいんだ、俺の前では…
「紗夜、無理して笑おうとしなくていい。俺の前では我慢しないで泣いていいんだ。ただ、その涙は俺に拭わせてくれ。
たくさん泣いたその後は、どうか笑って欲しい。
俺は、君の笑顔が大好きだ。
君が俺の隣で笑っていてくれたら、俺はそれだけで嬉しい」
「杏寿郎さん…」
俺がそう言うと、紗夜は頬をほんのりと染め、柔らかく笑った。
やっぱり君は、笑顔が似合うな。
「明日は早いだろう。そろそろ寝たほうがいい」
「そうですね。私、部屋に戻ります」
スッと立ち上がる紗夜。
もう行ってしまうのかと名残惜しくなり、思わずその手を掴んでしまう。
「杏寿郎さん⁈」
明日は紗夜の顔が見られないのかと思ったら、離れたくないと思ってしまった。
寂しいと思っているのは、俺も同じだったようだ。
いきなり手を掴まれ驚いている紗夜に俺はこう言った。
「今夜は、一緒に寝ないか?」
「…一緒に⁈」
「離れたくないんだ」
無理強いはしないが…と付け加え、紗夜の返事を待つ。
固まる紗夜に、いきなりは無理かと半ば諦めかけたその時、顔を真っ赤にしながら紗夜が口を開いた。
「…いいですよ」
これは…嬉し過ぎる!
まさかいいと言ってくれるとは思わなかったので、思わずもう一度聞き返すと、紗夜はコクンと頷いた。
明日の任務も頑張れそうだ。
2人で一緒に布団に入る。
俺が腕枕をしてやると、嬉しそうに擦り寄ってきた。
なんて可愛いんだ…
ぎゅっと抱きしめると、ふふっと嬉しそうに笑った。