第3章 君の笑顔が好きだから 煉獄杏寿郎
ずっと胸の中で温めていたこの気持ち。
今伝えよう、君に。
「紗夜、俺は君が好きだ」
紗夜を真っ直ぐ見つめると、大きく開かれた綺麗な瞳とぶつかった。
「杏寿郎さん…」
「君の気持ちも知りたい」
頬を染め、潤んだ瞳で俺を見上げると、紗夜も俺に想いを告げた。
「私も好きです、杏寿郎さん」
それを聞いた瞬間、気付けば俺は紗夜を抱きしめていた。
どうしようもなく、嬉しかった。
同じ気持ちだったなんて、夢にも思わなかったから。
「きっ杏寿郎さん⁈」
紗夜は俺に急に抱きしめられてびっくりしているようだった。
「驚かせてすまない。だが少しの間こうさせてもらえると嬉しい。…ずっと、君に触れたかったんだ」
すると、紗夜の手が遠慮がちに俺の背中側へ回った。
「私も、ずっとこうしたいなって思ってたので……嬉しい…です」
恥ずかしいのか紗夜は頬を赤く染めた。
その顔を見られたくないと思ったのか、ちょっと俯くとそのまま俺の胸に顔を埋めてしまった。
か…可愛い過ぎる!
よもや!このまま押し倒してしまいそうだ!
だがいきなりそんな事をして嫌われてしまってはいけない!
それは絶対に避けたい!
俺は紗夜をぎゅっと抱きしめながら、優しく頭を撫でてやった。
このままどうにかしてしまいたい衝動はなんとか我慢した。