第9章 あなたの愛に包まれて*後編 上* 宇髄天元
「ごめんなさい…」
罪悪感に苛まれ、謝罪の言葉を口にすると、
「謝って欲しいんじゃねぇよ」
宇髄さんはぽんと私の頭をひと撫でし、困ったように笑った。
「そんなに気に入らねぇの?」
「…宇髄さんの隣に並べるような綺麗な恰好してないので。…こんな私連れてたら宇髄さんが恥かいちゃいますよ?」
「恥なんかかくかよ。お前はいつも可愛い。俺が言うんだから間違いねぇ。だからもっと自信持て。な?」
そう言って優しく微笑む宇髄さん。
そうなのかな。
こんな私でも、この人の隣、歩いていいのかな。
でも宇髄さんがそう言ってくれるなら…と、さっきの様に、もう一度宇髄さんの隣に並び直した。
「それで良し」
宇髄さんは満足そうににこっと笑う。
私も釣られて微笑んだ。
「…やっぱりお洒落はしてぇモン?」
ちょっと間があってから、宇髄さんが遠慮がちに聞いてくる。
「え?んー…、そうですねぇ。デートとなれば、女子は皆張り切るかなぁと…」
もしかして、着替えられなかったの気にしてくれているのかな。
そのままでいいって言ってくれたから、私はもう平気だったのだけれど。
「んー。じゃ、いいトコ行こうぜ」
「え?…ぅわっ」
何か考えてる風だった宇髄さんをボンヤリと見ていた私は、不意に繋いでた手を引かれて身体が置いてかれる。
半ば引っ張られる様になってしまって、慌てて体勢を立て直しているのを宇髄さんはちゃんと気付いて待っててくれた。
「悪ぃ、ごめんな」
「いえいえ、全然。それより、いいトコってどこですか?」
「俺とお前のしたい事が出来るトコ。場所は行ってからのお楽しみ」
そう言うと、宇髄さんはにかっと笑う。
宇髄さんも私もしたい事が出来るってどんな所だろう。
楽しみだなぁ。
どこへ行くのかワクワクしながら、手を繋ぐ宇髄さんと仲良く並んで歩いた。