第9章 あなたの愛に包まれて*後編 上* 宇髄天元
「“結婚を前提にお付き合い“って言ってたから、もっと先なのかなって思ってたので…」
結婚の約束はしたけれど、よく考えると私達は今お互いに知らないことがいっぱいある。
そんな状態のまま一緒になっていいものなのか。
だから宇髄さんはあの時、“結婚を前提にお付き合い“って言う形をとって、お互いを知る期間を作ろうとしたのかな。
と思っていた、のだけれど…
「あれなぁ…、うん」
あれ、違ったのかな。
なんとも歯切れの悪い返事だ。
「まぁ、あん時は考える時間っつーのも必要かと思ってた。でもよ、考えた所で…気持ち変わるか?いやここで変わるとか言われたら俺マジで悲しいけど…。
言っとくが、俺は変わらねぇよ。お前以外となんて、この先絶対ありえねぇ」
自信たっぷりにそう言われ、「お前はどーよ」と答えを促される。
そんなの、私だって…
「…私も、変わりません。宇髄さん以外となんて、ありえない、です」
もしもこの先びっくり仰天な宇髄さんを知ったとしても、結婚を躊躇うなんてことにはならないと思うし、それがたとえ結婚後だったとしても、別れようなんてこと、私はきっと露程も思わないだろう。
もう今の私には、宇髄さんのいない未来なんか想像出来なくなっていた。