第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
その時…
「むー…、てんげん…おにぃちゃん…」
「「??!!」」
は⁈なんだ、今俺呼ばれたよな⁈
起きたのか⁈と慌ててガバッと起き上がり、ベッドを覗いてみれば…
「ぼくのぷりんあげるからぁ…なかないでぇー」
目をしっかり閉じ、スヤスヤ眠る奏真がいた。
…寝言、ハッキリしてんのね。
脱力した俺は、そのまま紗夜の横に倒れ込んだ。
「焦った…。マジでビビるわ…」
「寝言でしたね」
「夢ん中でもプリン食ってんのな」
「宇髄さんがプリン食べたくて泣いちゃってましたけど」
「どんな夢よ…」
「ふふ」
可笑しそうに笑う紗夜の頭を撫でてやると、今度は嬉しそうに微笑んだ。
正直言えば、もう少ししていたかった。
だがあのまま続けていたら、ホントにやめられなくなってたかもしれねぇ。
あの寝言はナイスタイミングだったわけだ。
…早く寝かせろと、言われたような…そんな気もしなくはないが。
「じゃ、いい子で寝ときますか、紗夜ちゃん?」
「はい、寝ます」
そう言って寝る体勢に入った紗夜。
その布団の中へ、俺も一緒に入る。
「あれ、シャワー…」
「んー、お前が寝たらな」
そんな事を言ってみたが、本当は俺が今離れたくないだけだ。
「ここ、来る?」
腕を広げてみれば、
「おじゃまします」
仰向けで寝ていた紗夜はころんと向きを変え、嬉しそうに俺の胸にぴったりとくっついた。
何これすんげぇ可愛いんですけど。
そのまま抱き込み背中をトントンしてやった。
「寝にくくねぇ?」
「大丈夫です。宇髄さんの匂い安心します。好き」
好きの破壊力が半端ねぇ。
「そりゃ良かったわ」
「あと…トントンされると、眠くなっちゃう…」
「寝かそうとしてんの。素直に眠くなっとけ」
「…シャワーから戻ったら、またここで寝てくれますか?」
「大丈夫だから、ちゃんと一緒にいてやるよ。朝までずっとな」
「よかった。…おやすみなさい、宇髄さん」
「おやすみ、紗夜」
頭のてっぺんにキスを落とすと、段々と閉じられる紗夜の瞼。
そのまま紗夜は、夢の中へと誘われていった。