第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「んじゃ、今日一緒に寝ても問題ねぇな?」
「あ…えと、」
控え目に、コクンと頷く紗夜。
恥ずかしそうに、それでも嬉しそうにはにかむ紗夜がいじらしく、俺はもう我慢の限界。
「っん…」
気付けば紗夜に己の唇を押し付けていた。
すると、紗夜が慌てたようにトントンと俺の肩を叩くので、仕方なく唇を離してやる。
「何?」
「これじゃあほんとにうつっちゃいますっ」
「そしたら看病してくれんだろ?」
紗夜が熱を自覚する寸前にもうがっつりキスしちまってるし、こんだけずっと一緒にいるんだ。
もう今更だろう。
まぁ、うつらねぇ自信は残ってんだけどな。
「あとちょっと、ダメ?」
キスを強請る俺に折れたのか、紗夜は困ったように笑い、
「もう…、ちょっとだけですからね?」
覆い被さる俺の背中にそっと手をまわした。
そういう控え目なところ、可愛いんだよな。
「舌は入れねぇから」
「ッ…はいっ」
恥じらいながらも素直に頷くところがまた堪らなく愛しくて、思わずどうにかしてしまいたくなるものの…
宣言通り、軽めのふんわりしたキスにとどめる。
と、ここで思い出す。
そういや寝かせるんじゃなかったか?
やめねぇと…と思うんだが、合わせた紗夜の柔らかな唇が、思いの外気持ちいい。
やみつきになっちまう。
「…ふっ…ん…」
ほら、そんな声聞かされてみろ。
余計にやめられなくなるっての。
頭では分かってるのに、欲がそれを上回る。
離れたくなくて、角度を変えながら啄むようなキスに、夢中になってしまう俺。