第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「ほら、おでこ出せよー」
「はぁーい」
熱のせいか、なんで?なんてそんな疑問も湧かねぇらしい。
言われた通り、素直におでこを出す紗夜。
なんて従順。
くそっ、可愛いなぁ!
そんな可愛い紗夜のおでこに今し方持ってきた例のアレをペタッと貼ってやる。
「わっ…、つめたぁい」
「どうよコレ」
「冷たくて気持ちいです。よく眠れそう」
「なら良かったわ」
「ありがとうございます、宇髄さん」
「礼なら不死川に言ってやって。これ以外にもアイツが色々見繕ってくれたからよ」
「そうなんですか!すごいです不死川さん」
「そ、アイツ頼りになんのよ。コンビニでオロオロしてたらパッと現れてな。最初っから分かってたみてぇにさ、俺が求めてたモンさっと選んでくんだよなぁ」
「オロオロ宇髄さん見てみたかったです」
ヤメテー。マジで。
恥ずか死ぬ。
「頼もしいですね、不死川さん。スーパーマンみたいです」
・・・。
見えねぇわー。
最っ高に見えねぇわー。
これ聞いたら不死川キレんじゃねぇ?
いや、大丈夫か。
アイツああ見えて女と子供には優しいんだよな。
スーパーマンっつうか、紳士?
まぁそれは置いといて。
あんま喋ってっと休めねぇだろう。
一旦おしゃべりは中断し、俺は寝る支度をすることにした。
「そろそろ寝た方がいいな。ちゃんと身体休ませねぇと」
「はい」
「シャワー借りるけどいいか?」
「はい、もう自由に使ってください」
「サンキューな。あー、悪ぃんだけど布団もうひと組使わせてもらっていいか?良けりゃあリビングにでも敷いて寝っから」
「あ、それなら…。私の部屋のベッド使ってください。狭いかも…ですが」
確かに、さっきここへ布団を出す時にチラッと見たが、俺がいつも使ってる物より少し小さそうに見えた。
が、使ってもいいと言うのなら、新たに布団を出す手間が省ける。
ここは有り難く使わせて頂こう。
寝床の確保が出来た俺は、先ずはシャワーと立ち上がろうとした。
のだが……。