第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「俺は、お前みてぇに出来っかな…」
ポツリと呟いた俺の独り言は不死川の耳にしっかり届いていて、
「ァア?なんだよ、らしくねぇなァ」
訝しげな顔で返事をされる。
「ちゃんとしてぇの、俺は。お前みたいに、紗夜をちゃんと労りてぇんだよ」
俺がこんな事を言うとは思わなかったのか、不死川は思いっきり目を丸くした。
が、すぐにふっと目を細め、穏やかな笑みを湛える。
「出来てんじゃねェかァ?だからお前、ここにいるんだろォ?」
…え?俺出来てんの?
不死川の言葉に、今度は俺が訝しげな顔をした。
「彼女が熱出して、どうにかしてやりたくてここまで出てきたんだろォ?もう立派に出来てんじゃねェかよ。何迷ってんのか知らねェがなァ、足りねェと思ってんならこれから思う存分やってやりゃいいだろォがァ」
そして最後に喝を入れるかの如く、不死川は俺の背中を思いっきりバンッと叩いた。
「おらァ!いつもの俺様はどうしたァ!」
「いってぇ!」
マジで痛ぇ‼︎
それでも、柄にもなく弱気になってた俺にとってはいい刺激だった。
「あー、気合い入ったわ。アリガトな」
「こんくれェならいつでもやってやらァ。背中と言わず、顔面拳でなァ」
…それは勘弁。