第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
てっきりレジを待つ列へ並ぶのかと思いきや、そこまで行かずにふと足を止める不死川。
なんだ?とよく見てみれば、そこは女子が喜びそうな、彩豊かなスイーツの棚。
「ガキは?食欲あんのか?」
「あぁ、飯は食える」
「好きなモンとか聞いてるかァ?」
「おー、プリンだなぁ」
聞かれるがまま答えちまったが…
すると不死川が手に取ったのは、普通のプリン。
ではなく…
生クリームやらメロン、さくらんぼが乗っている、少しお高いプリンアラモード。
それを俺のカゴには入れず、自分のカゴへ。
「それ、お前が食うの?」
「違ェよ!…買ってやる」
「ん?誰に?」
「ァア?んなもんテメェの彼女の子供に決まってんだろォ」
……は?今なんつった?
「え、マジ?買ってくれんの?」
「今日だけだァ」
「えー何それ優しぃさねみん」
「テメェぶっ殺されたくなけりゃその口チャックしとけェ!」
物騒な言葉を吐き捨てさっさと列へ並ぶ不死川。
いやしかしその顔でプリンとか。
強面の兄ちゃんからプリンを出された時のレジの女の子の反応に期待してしまう俺だった。