第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「夜なんてそんなに出来ることなんてねェぞ?まァ熱があんなら…コレか」
一通り事情を聞き終えた不死川は、おでこに貼る冷却シートを手に取り俺が持ってるカゴへポイッと入れる。
「別にコレ貼ったからって熱が下がるわけじゃねぇからなァ」
「あそぉ。ま、ねぇよりはマシか」
「そーゆーこった。あとは…」
俺が見てる前で何やら色々手に取りながら、必要なモンを吟味してサクサクと俺のカゴへ入れていく不死川。
うーん、なるほどな。
ゼリー状の栄養補助食品に、経口補水液のペットボトルを何本か。
あぁ、そういや食欲無くてこういうモン取ってた気がして来た。
それにしても、この目の前の不死川の頼りになること。
俺もこういう男になりてぇな。
なれっかな。
「こんなもんでいいんじゃねぇかァ?…オイ、何見てやがる」
「ん?いや、いい旦那もらったなーと思ってな。葉月チャン」
「人の嫁を馴れ馴れしく名前で呼ぶんじゃねェ!」
「旧姓で呼ぶのも変だろ?」
「そーだがお前に呼ばれると腹が立つ!」
えー理不尽。
じゃあなんて呼びゃいい?
……嫁さん?
まぁ確かに、俺だって紗夜のことを馴れ馴れしく名前で呼ばれりゃいい気はしねぇが。
でも不死川なら俺、許せる気がするわ。
マジで。
そんなことを考えてるうちに、不死川はレジ方面へスタスタと歩いて行ってしまう。
必要なモンは入れてもらったし、俺もそろそろ会計すっかと不死川の後をついて行った。