第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
一番近くのコンビニで、まずは今自分が必要であるものをカゴへ入れていく。
歯ブラシ、洗顔フォーム、下着…あとなんかある?
まぁ最低限っつったらこんなモンだろ。
次は紗夜達の必要なモンを探しにかかる。
……何がいるんだろうな。
そういや俺、ここ数年風邪をひいた覚えがねぇ。
そのせいなのか、具合が悪い時に何をしたらいいのかが全く思いつかねぇときた。
最悪寝てりゃ治ると思うが…。
だが熱もあるし、ただ寝かせておくのも忍びねぇ。
…そうだ、取り敢えずあの熱をどうにかしねぇと。
そもそも家に解熱剤はあるのか?
聞くの忘れたな…。
無かったとして、コンビニじゃあ薬なんて売ってるわけねぇし…。
あー、何やってんだ俺。
頼りねぇ…。
そんなことを悶々と考えていると、背後から聞き覚えのある声が俺の耳に飛び込んできた。
「宇髄かァ?」
ハッと振り返れば、
「珍しいなァ。お前ん家この辺じゃねェだろォ?」
……救世主‼︎
「不死川ぁ!」
「うぉっ、なんだよ⁈」
いい所へ現れたと俺は不死川の両肩を掴み、若干引いてるコイツを逃すまいと掴む手に力を込める。
「近ェ!痛ェ!なんだいきなりテメェはよォ!」
「聞きてぇことがある!」
「ア“ー!聞いてやっから少しは離れろォ!」
俺がパッと手を離すと、青筋を立てながらも「で?聞きてェことってなんだァ?」とちゃんと俺の話を聞いてくれるらしい。
やっぱいい奴ねお前。
そして俺は、さっきからずっと考えていた疑問を不死川に問う。
「風邪をひいたらどうすりゃいい⁈」
「・・・はァ?」
不死川は今世紀最大の訝しげな顔で、俺を思いっきり睨みつけた。