第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「ひとつ、確認しておきたいことがあるんです…」
…。
なんだ、そっちか。
てっきりやましい気持ちを見破られたのかと多少焦ったが、そうでは無いと分かれば自然と安堵のため息が漏れる。
「・・・?」
変なところでため息を吐いた俺を不思議がる紗夜。
だからな、その見上げながら首傾げんのやべぇんだって。
あ“ー、可愛過ぎるわ。
生殺しとはこのことか…
「いや、なんでもねぇよ。気にすんな。で、何が気になるって?」
本気で押し倒したい衝動を必死に隠し、なんとか話の先を促した。
「私、子供がいます」
「うん」
「優先順位の一番はやっぱり奏真です。だから、二人で一から始めましょうみたいな、普通のお付き合いは出来ません」
「うん」
「なので…、私も望まないわけじゃないですけど、…二人きりになりたいとか、そういう時間が欲しいと言われても…正直難しいです」
「…うん」
「それでも…いい、ですか?」
何を言われるのかと身構えて聞いてみれば…
なんだよ、そんなこと気にしてたのか。
紗夜は「うん」しか言わない俺に不安そうな顔を向ける。
そんな顔すんなと、俺は紗夜の前髪をかき上げそこへ一つキスを落とした。
「子供が一番なのは当たり前だろ?俺との時間を優先しろなんて、そんな野暮なこと言わねぇから。安心しろな?」
「…はい」
「それにな」
「?」
「今みたいに奏真が寝た後とか夜なら時間取れんだろうし、どうしても二人になりたいとか、そういう必要が出て来りゃ協力してくれる奴もいっから」
「…どなたでしょう?」
「んー、不死川?」
「あぁ、同僚さん」
許可は取ってねぇが、多分言えばどうにかしてくれんだろ。
だってアイツいい奴だもん。