第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
紗夜が俺を求めてくれた。
一緒にいるのは俺がいいと…
なら、もう…言ってもいいよな?
啜り泣く紗夜の身体をぎゅうっと抱きしめ直し、そっと囁くように語りかける。
「紗夜、そのままでいいから聞いてくれるか?」
紗夜は俺に抱きしめられたままコクコクと頷く。
緊張…している。
俺の鼓動はいつも以上に激しく動いていた。
フゥ…と一呼吸置き、昂る気持ちを落ち着かせる。
ずっと言えなかったこの気持ち。
どうか紗夜に届いてくれ…
「好きだ、紗夜」
俺の胸に顔を埋めていた紗夜は弾かれたように顔を上げた。
「っ…宇髄さん、……私も…」
大きな瞳からぽろぽろと涙を零しながら、
「好き、……大好きですっ」
綺麗に微笑んで見せてくれた。
あぁ、やっと…
やっと手に入れた。
「はぁーーーっ」
「っ⁈」
盛大にため息を吐いた俺に、これまた盛大にビビる紗夜。
「そんなビビんなって。これは嬉しいため息なのよ」
「それなら、良かったです。ふふ」
可笑しそうに笑う紗夜の、頬の涙の痕を指で優しく拭い、そこへちゅっとキスをしてみる。
「ぅひゃあっ…!」
変な声と共にぶわっと顔を真っ赤にさせた。
あぁ、もうダメだ。
可愛いしか出てこねぇ。
もう遠慮はしねぇと、可愛い可愛い紗夜をぎゅっと抱きしめると、紗夜も遠慮がちに俺の背に腕を回してくる。
そういうとこがまた堪らねぇ。
「やべぇ、マジで好きだわ」
「私も、マジで好きです」
「なにそれ俺の真似してんの?」
「ヘヘっ」
……押し倒してもいいですか?
「………宇髄さん、あの…」
そんな俺の欲望を戒めるかのように、紗夜は真面目な顔で俺を見上げている。
あら、俺の願望バレてる?