第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「ママおなかすいたー」
「食欲出てきたかな?お粥持ってくるからちょっと待っててね。プリンも食べる?」
「たべるー!」
元気よく返事をした奏真に紗夜はくすっと笑い、お粥を持ちに一旦部屋を出た。
少し熱はあるが、この調子ならすぐ良くなりそうだな。
「いっぱい食べて早く元気になれよー」
「もうげんき!」
「おぉ、そう見えっけどな。もうちょい熱下がらねぇと」
「そしたらきょうりゅういける?」
「行ける行ける。早く行きたいな」
「うん!じゃぁいっぱいたべるー!」
張り切る奏真の頭をよしよしと撫でてやった。
「てんげんおにいちゃん」
「ん?」
「きょうかえっちゃう?」
「そうだなぁ。もう少しいるが…帰る、かなぁ」
俺がいない方が奏真もゆっくり休めるだろうと思ってそう言ったんだが…
奏真はあからさまにしょんぼりしてしまった。
「なんだよ。いて欲しいか?」
「うん。だってね、てんげんおにいちゃんいないとママさみしいよ?」
…ママ?
奏真じゃなくて、ママなの?
「ママがそう言ってたのか?」
「いってない」
「言ってねぇの?」
じゃぁ何でそんな話になんの?と俺が首を傾げると、
「ママがねぇ、てんげんおにいちゃんいてくれたらうれしいねっていってたー」
……。
ちょっと待て、整理するぞ。
俺がいると嬉しい→俺が帰る→俺がいない→ママ寂しい
こーゆー事?
「…あそぉ」
平然を装い返事をするが…
ぶっちゃけ俺の心臓はこれでもかと言うほど高鳴っていた。
なにそれいつの話⁈
つぅかめっちゃ嬉しいんですけど⁈