第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「なかなおりー?」
「おぅ、ド派手になぁ」
「どはでー!ママよかったねー!」
「ド派手?…うん、よかったっ」
そう言って紗夜が笑うと、奏真もにこにこと笑う。
大切だと思う奴らの笑顔が、今俺の目の前にある。
なんだこれ、ものすごく幸せだ。
堪らず俺は片腕で紗夜を強く強く抱きしめ、もう片方の手で奏真の頭をわしゃわしゃっと撫でまくった。
「くしゃくしゃーっ!」
「く、くるしぃです宇髄さんっ!」
「いいじゃねぇか!お前らが笑ってっと嬉しんだよ!」
と、紗夜達の文句を一蹴。
幸せ噛み締めさせてくれ。
構い倒す俺に、奏真はぎゃははと笑い転げ、紗夜も可笑しそうに声を上げて笑った。
今までに感じたことのないくらいの幸福感が、俺の胸いっぱいに広がっている。
いつまでもこうしていたい。
ずっと、一緒にいたいんだと、俺の心が訴えていた。
早く言いたい、この気持ち
まだ伝えていない大事なこと
もう先延ばしにはしない、近いうちに必ずと心に決め、「恥ずかしくて限界です!」と言われるまで愛しい女を抱きしめていた。
「37.8℃」
「まだ結構あんなぁ」
「でも昨日よりは下がりました。良かったです。あ、高いように感じますけど、子どもはこのくらいならちょっと熱あるかな?くらいですよ」
「…マジ?」
「はい。普通の風邪くらいなら38℃あっても元気に動き回ってます」
(※その子によります)
「すげぇ…」
「ぼくすげー?」
確かに、さっきも普通に起き上がってたし。
顔が赤いだけでベッドに横になってる奏真は物凄く元気そうだ。
俺なんか、そんなに高けりゃ多分一歩も動けねぇ。