第8章 あなたの愛に包まれて*中編 下* 宇髄天元
「うん、じゃあ聞くけど。宇髄くんは月城さんのことはどう思ってるのかな?」
……。
これ、俺試されてる?
つぅかここで言うの?
佐々木さんはニコニコと、俺が答えるのを待っている。
あーあ、間違えたら教えてくれねぇんだよな、きっと。
いや間違えるもなにも、答えなんて最初っから一つしかねぇけどよ。
俺は深呼吸する。
嘘はつかねぇ、心して聞けよ。
「紗夜は…、俺が初めて一生守りたいと思った子だ」
……ヤベェ、恥っず!
何故か本人がいないところで本心を曝け出すことになった俺。
言い終わると激しい羞恥心が俺を襲う。
他の客がいなかったのがせめてもの救いだ。
最後の意地で一番大事な言葉は紗夜のために取っておいた。
目の前の佐々木さんはもう分かっていたかのように、優しい微笑みをたたえながらゆっくりと頷く。
「本気なんだね?」
「あぁ、そうだよ」
「分かった。じゃあ、教えてあげるよ」
「佐々木館長!」
胡蝶サンが慌てたように声を上げる。
上司といえど、やはりそれはマズイだろうと止めるつもりだろうか。
そう思ったんだが、次に発せられた胡蝶サンの言葉は俺の予想と大分違っていた。
「紗夜さんに言われたじゃないですか!『宇髄さんには内緒にして欲しい』って!」
「……は?」
今なんつった?
俺に内緒?
あ、そういや名乗ってなかったが、胡蝶サン俺のこと知ってたんだな。
いやいや今はそれはどうでもいい。