• テキストサイズ

君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元





絵本も中盤に差し掛かった頃…
カクン、カクン…、と奏真の頭が揺れ始めた。

「ん?奏真、眠いか?」

「…んー…」

腕時計を確認すれば、8時半を少し過ぎたところ。
子供が寝るには丁度いい時間だ。
このまま家に連れてっちまいたいが…、洗濯機はまだまだグルグル回っている。

「寝てもいいよ。ママが抱っこしてあげるね。ほらおいでー」

そう言って紗夜は奏真に向かって腕を広げる。

紗夜が当たり前のようにそうするから、俺も自然な流れで紗夜に奏真を託そうとする、が…

ちょっと待てよ?
こうすると今困ることが一つあるんじゃねぇ?

「ちょーっとストップ」

「?」

自分の息子を抱き上げようと腕を広げたのに阻止される。
「何で?」と紗夜は首を傾げた。

「俺がこのまま抱っこしててやる」

「え?でも…」

「両手塞がってたら出せないだろ?」

アレ、と俺は乾燥の段階に入った洗濯機を指差した。
中の洗濯物は踊るように舞い上がっている。

「あ、そっか…。いいですか?」

「おぉ、まかせとけ」

「はい、ありがとうございます」

ふわりと笑う紗夜に俺も釣られて微笑んだ。

奏真の身体の向きを直したい。
正面を向いたままじゃ寝にくそうだ。
脇の下に手を入れ、ゆっくりグルンとこちらに身体を向かせてから俺に抱きつかせるようにして抱き直す。

うん、これのがいいな。
さっきより安定するだろう。

動かしたからもしかして起きちまったかと顔を覗き込めば、瞳はしっかりと閉じられ、奏真はすでに夢の中だった。

「ふふ、寝ちゃいましたね。
子供の手って、眠たくなるとあったかくなるんですよ」

「そうなのか」

紗夜が握っていた奏真の手を、今度は俺がそっと握ってみる。

「ホントだな、あったけぇ」

「ぽかぽかですね」

手だけじゃなく、身体全部が温かい。
こうやって抱っこしてると、俺の身体まで全部あったかくなりそうだ。

なんだこれ、すげぇ癒される。
今どこにいるかも忘れそうなくらい、俺はとてつもなく穏やかな気持ちになっていた。







/ 234ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp