第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
時刻は午後7時50分。
約束通り迎えに来た。
多少早いがまぁいいだろう。
玄関のチャイムを鳴らすと、中からトトトッと廊下を走っているであろう軽やかな音。
それが聞こえただけで俺は頬が緩む。
『奏真待ってー!違う人だったらいけな…』
中から慌てた様子の紗夜の声が聞こえてくる。
誰だか確認しないで開けたら危ない。
だがそんな静止も虚しく、全て言い終わらないうちに、ガチャッと玄関のドアが開かれ…
「あー!てんげんおにいちゃん!」
にこにこ笑顔の奏真が登場した。
良かったな、俺で。
「奏真、元気してたか?」
「げんきだったー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねる奏真の頭をポンポンと撫でる。
「こんばんは宇髄さん、わざわざありがとうございます!ほら奏真、ジャンパー着てー!」
「テンション高ぇな、どしたよ?」
「宇髄さんに会えたからですかねぇ。ふふふ」
マジか。
そりゃ嬉しいこった。
そう言う紗夜も心なしか嬉しそうに見えて…
なんだよお前、可愛すぎるだろ。
あー、抱きしめてぇな…
そんな願望を無理やり抑え込み、妙にハイテンションな奏真に慌ただしく上着を着せて、三人で家を出た。