第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
「近場なら電車で一駅ん所に遊園地がある。遠出すんなら動物園とかでもいいんじゃねェ?あとは…興味があるか知らねェが、恐竜博物館がどっかにあったろォ。今思い付くのはそんくれェだなァ」
そういや話の途中だったな。
つぅか結構しっかり考えてくれてんのね。
「やっぱお前、いい奴だなぁ」
思った事がつい口からぽろっと出ちまった。
不死川は思いっきり顔を顰める。
「テメェ…何のつもりだァ」
「何って、思った事をそのまま言っただけだぜ?あ、何?照れちゃった?可愛いねぇさねみん」
「気色悪りィ事言ってんじゃねェ!あとそのふざけたあだ名はやめろって何回言やァ分かんだァ‼︎」
「おーこわ!分かったよ、悪かったって」
チッ、と舌打ちしながら次の授業の準備を始める不死川。
因みに俺は次の授業は空き時間なので、ゆっくりと残りの飯を食う。
「どこ行くかは知ったこっちゃねェがよ」
「ん、何?」
「ちゃんと楽しませてやれよォ。父親がいない分、我慢してる事もあるはずだからなァ」
ほらやっぱり、いい奴だよお前は。
「そのつもりだよ」
「そんならいい」
荷物を纏めた不死川は席を立ち上がる。
「不死川」
「ぁあ?」
「ありがとな」
俺が礼を言うと、不死川は目を見開き驚く。
その後目を細めフッと笑い、授業に向かうためその場を後にした。
何だよ今の笑顔、いい男過ぎて一瞬どきっとしちまった。
俺が女だったら惚れてるな、きっと。
なんてバカな事を考えてみる。
さて、どうやって楽しませてやるか。
新幹線で行くなら結構遠くまで行けるんだよな。
不死川の言ってた遊園地もいいが、折角ならアイツらが行ったことない所に連れてってやりてぇ。
色々考えてたら、妙にワクワクしている自分に気付く。
なんだかなぁと自分に笑っちまうが、三人で出掛けるのだと思うと楽しみで仕方ない。
遠足前の子供みてぇだ。
さっきの不死川の提案も頭に入れつつ、残りの弁当を食いながら、遠出のプランをうきうきしながら立てるのだった。