第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
「子供がいりゃ大変だなァ、色々。いくつだァ?ガキは」
「5歳だが、しっかりしてるぜ?可愛いしなぁ」
「娘かァ?」
「いや息子。今度遊び連れてく約束してんだけどよ、子連れで楽しめる所どっか知らねぇ?」
「オイ、もうそんな約束してんのかよ…」
不死川は呆れ顔をしながらも「ガキ連れてかァ」と何やら考えてくれるらしい。
いい奴だなお前。
「つってもうちまだ6ヶ月だからなァ。行くっつったら近場になっちまうし、そんなに参考になんねェだろ」
実は不死川は既に結婚してんだ。
しかも3月には一人目の息子が産まれた。
俺が遊び歩いている間に、こいつは本物の愛とやらを育んでいたらしい。
俺の方が女の扱いは上手いし、結婚なら俺の方が絶対早いと思っていたのに、先を越されちまった。
『なぁ宇髄よォ、フラフラしてねェでそろそろ先の事も考えろよ?』
不死川が結婚する時にそう言われた。
余計なお世話だとそん時は軽く流したが、今までの俺がだらし無さ過ぎて、見るに耐えなかったんだろう。
今なら分かる。
もっと自分の人生考えろ
今までの行動を悔い改めろ
このままいったらお前、ずっと一人だぞ
遠回しに諭したんだろうなぁ
不死川は、俺に。
不死川の結婚で色々考えさせられた俺は、その後紗夜に出会って…
今思えばいいタイミングだったんじゃねぇかとさえ思う。
昔のまんまの俺だったら、あんな一瞬の出会い、気にも留めてなかっただろうしなぁ。
不死川には感謝だなぁ。
ホント、出来た男だわこいつ。
「オイ、何ニヤニヤしてんだよォ」
「別に?いや、いい男だなぁと思って」
「……はぁ⁈テメェ何か企んでんのかァ?」
「いやいや普通に褒めてんだよ」
「急に普段しねェ事すんじゃねェ…」
調子狂うだろォがと不死川は頭の後ろをガシガシと掻いた。