第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
コイツなかなか頑固だなぁなんて思いながら、何かいい策はねぇもんかと考える。
いや、待てよ。
こんな悩むぐらいなら、俺が一緒に行けばいいんじゃねぇの?
名案だ。
さすが俺様。
「分かったよ。そのかわり、俺も一緒に行く!それなら俺は文句はねぇ」
『……え?わざわざですか⁈いや、そんな…ダメです!』
「なんでよ?」
『申し訳なくなっちゃいます!』
「そんだけ?他に何か断りたい理由は?」
『他ですか?ぇえっ…、別に嫌では無いし…むしろ嬉しいと言いますか…って何言ってんでしょう…!いいえ!特にありません!』
ほんと面白ぇなぁ、思った事全部口に出ちまってんの。
俺は聞きながら笑いを堪えるのに必死だった。
「だったら何も問題ない。俺はお前らと一緒に行きてぇと思ってる、だからお前が俺に悪いと思う必要はねぇ。お分かり?」
『そう言う事なら…分かりました!』
「分かればよろしい。んじゃ、夜迎え行ってやるよ。何時がいい?」
『ありがとうございます。そうですね…奏真のお風呂まで済ませたいので、8時くらいが良いです』
「ん、りょーかい。じゃ、8時な」
『はい、たのしみ……あれ、楽しみじゃ変ですね』
「いいんじゃねぇの?楽しみでも」
『そっか。じゃぁ……、楽しみにしてます。えへへ』
電話越しに紗夜の嬉しそうな様子が伝わって来て、つい俺まで顔が綻んじまう。
「そんじゃぁ、また後でな」
『はい、また後で』
電話を切った後も耳に残る紗夜の声が心地よく、俺は暫くその余韻に浸っていた。
楽しみとか…可愛過ぎるわ。
「お前そんな顔出来んだなァ」
「あ?なんだよ、そんな顔って」
「幸せデスって顔に書いてあるぜェ」
「るせーよ」
やべ…そんな腑抜けたツラしてたのか俺は。
しかも不死川に見られるとか、最悪だ。
もっと引き締めねぇと。