第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
“今度3人でピクニックでも行くか?“
試しにそう送ってみると
“一緒に行ってくれるんですか?
やったぁ!
嬉しいです!“
なんて返って来るもんだから、こっちまで嬉しくなっちまう。
ニヤけそうになるのを我慢しながら下へスクロールさせると、次の文面で俺は顔を顰めた。
“朝家を出る時に、うっかり洗濯物を干し忘れてしまいました。
今日天気良かったのに、残念です。
夜にコインランドリーに行ってきます。“
……。
ちょっと待て、おい。
夜にコインランドリーだと?
夜に出歩くなんて危ねぇ。
変な奴がいたらどうするんだ。
なんて危険なことしやがる。
こうしちゃいられねぇと俺はメールの返信をやめて通話ボタンを押した。
『もしもし!どうしたんですか⁈』
紗夜は慌てた様子で電話に出た。
そりゃそうだ、メールの途中でいきなり電話が掛かってくんだからな。
ついでに言うと、電話だが2日ぶりに聞いた紗夜の声に俺の鼓動が跳ね上がる。
大丈夫か俺。
「おい、夜はやめとけ」
『え?…あぁ、コインランドリーですか?え、ダメですか?』
「夜だろ?暗いしそれに、変な奴がいないとも限らねぇ。危ねぇだろ」
『心配して下さるんですか?ありがとうございます。でも大丈夫ですよ!今まで変な人には会ったこと無いですから!』
あのなぁ、そうやって油断してっと危ねぇのよ。
あぁ…なんつったら伝わる?
この、夜に女が出歩くという危険さを。
いや、子連れか。
「それでもだ。それに、奏真も連れてくんだろ?部屋干しじゃダメなのか?」
『部屋干しはなかなか乾かなくて…。あと、私部屋干しの臭いがダメなんです。なんかこう…分かります?』
あー、あれな。生乾きの臭いだろ?
うんうん、分かる分かる……じゃねぇ!
「気持ちは分かるけどなぁ」
『お願いします!行かせてください!今日のうちに乾かしたいんです!』
ただ洗濯をしたいだけなのに、何故か俺の許しを得なければコインランドリーに行けない。
おかしな状況になっている事に、この時俺も紗夜も全く気付いていなかった。