第7章 あなたの愛に包まれて*中編 上* 宇髄天元
『え⁈いないの⁈じゃあ私なるなるー!明日先生のためにお弁当作ってきてあげるね!』
『ずるいー!私もー!』
「あのなぁ、簡単にそういう事言うもんじゃねぇ。あと弁当は彼氏に作ってやれよな」
『ええーやだ!宇髄先生の方がいいもん!』
「なんでよ」
『彼氏よりイケメンだから、ねー!』
『ねー!』
「……あそぉ」
オイオイ今の聞いたら彼氏泣くぞ?
まぁ、イケメンだと言われるのは悪い気はしねぇが。
自分の彼氏ほっといて俺の弁当作るとか、あり得ねぇだろ。
ツラが良けりゃあ誰でもいいのか?
最近の女子高生の思考回路は分からねぇ。
「ほら、用が済んだらさっさと教室戻れ。昼飯食う時間無くなるぞ?」
『『はぁーい』』
不満そうだが素直に返事をすると、きゃあきゃあ騒いでいた女子生徒は教室へ戻っていった。
「相変わらずモテモテですねェ宇髄センセ?」
そう嫌味ったらしく言いやがるのは、同僚の不死川。
因みに数学担当だ。
「何?羨ましいって?」
「んな事一言も言ってねェ…。浮かれて生徒に手ェ出すなよォ」
「出さねぇわ!それに俺は今忙しいんでね」
「女遊びにか?」
「だから違うっての!俺だって色々あんだよ」
ハァ?と不死川は訝しげな表情をした。
おそらく俺が言った『色々』の意味が分からねェと言った所だろう。
説明してやってもいいが……やっぱやめた。
その時ちょうど紗夜からメールが来たからだ。
朝からなんとなく期待をしてしまっていたせいか、画面に紗夜の名前が表示されているだけで胸が高鳴る。
……やべぇな俺。
昂る気持ちを抑えながら指で画面をタッチして、メールを開いた。
“宇髄さんこんにちは!
今日もとっても良い天気ですね。
ピクニックに行きたくなりますね!“
天気?まぁそうだなぁ。
今日も窓の外から燦々と陽が射し込み、部屋の中はぽかぽか…
いや、暑いくらいだ。
一応エアコンは効いてるが、窓側の先生達なんか汗をかきながら一緒に卓上扇風機を回している。
ひどい温暖化になっちまったもんだ。
で、俺はこれを何て返せばいい?
深読みしていいなら、俺と一緒にピクニックに行きたいと。
そういう解釈しちまうぞ?