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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元


「なぁ…」
「はい?」

私の向かいにいた宇髄さんは、何を思ったか急に席を移動して私の隣に座った。
何か言いたそうにしている。
どうしたのかな。


「紗夜って、呼んでもいいか?」


名前を呼ぶのに私の許可を得ようとする宇髄さん。
とても律儀な人だなぁと思った。
そんな事、しなくていいのに。


「いい…ですよ」


私がそう言うと、宇髄さんは凄く嬉しそうに笑った。


「紗夜……可愛いな」


この人は、どうして私が嬉しくなるような事ばかり言うのだろう。
そんな事言われたら、嬉しくて舞い上がってしまう。

赤くなった顔を隠すように俯くと、


「紗夜」


ひどく優しい声で名を呼ばれ、顔を上げると、真剣な眼差しで此方を見つめる宇髄さんと目が合った。


宇髄さんの長い指が私の髪を耳に掛け、
そのまますっと滑らすように頸の後ろへ差し込まれる。

こういう経験が、無いわけではない。

ここまでされたら、この先どうなるかという事くらいもう分かる。
嫌なら突き飛ばせばいいだけだ。

でも今の私にそんな事、できそうもない。

何故なら、この綺麗な紅い瞳に捉えられて、動けずにいるから。

それに、そんな事しなくてもいいとも思っていて…

恋してるって、気付いちゃったからかな。

もう、宇髄さんのしたいように、されるがままになりたいって思ってしまって…

そんな風に考えていたら、ゆっくりと近づいてくる宇髄さんの綺麗な顔に、私はそっと瞳を閉じる。

部屋中に広がるのはコーヒーの香り
けれど、私が今感じられるのは
宇髄さんの香水の香りだけ…

お互いの吐息がかかるほど、もうこんなにも近づいてしまった。

あと少し

ほんの少しでも動いたら
この唇は触れ合ってしまいそう…


その時…



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