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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元


「その…、検索すれば
 一瞬で分かって便利ですけど、
 楽を覚えて欲しくないなぁって。
 疑問に思った事を、考えて、
 色んな方法で調べて、
 それが分かった瞬間って嬉しくないですか?
 そういう喜びを、
 味わってもらいたいなぁと思ったんです」


ちょっと面倒ではありますけどね、と付け加える。

宇髄さんは、「ふーん」と気の無い相槌を打った。

あ、興味無かったかな、変な話しちゃった…と、少ししゅんとしていると…


「いいんじゃねぇの?そういうの」

「…え?」

「子供のこと、ちゃんと考えてんのな」


そう言って、宇髄さんは穏やかに笑った。

あれ、これって私、褒められてる?

向けられた笑顔に心臓をドキドキさせながら、宇髄さんが私の考えを理解してくれた事が嬉しくて舞い上がりそうだった。

今日、私の心臓持つかな…




「んじゃ、まずは辞書で調べるか。…しばかりねぇ…しばかり…」
「ぼくもみるー」


奏真が興味津々で覗き込むけれど、よく見えないみたいで一生懸命背伸びをしている。
その様子に宇髄さんはフッと笑って「ほらこっち来い」と奏真をひょいと抱き上げ膝の上に乗せた。


「これなら見えんだろ?」
「うん!」


奏真を膝に乗せたまま、宇髄さんは辞書をパラパラと捲り始めた。

そこに奏真がいると邪魔じゃないかな?
そう思ったけど、宇髄さんはそんな事全く気にしてないみたい。
それに、こんなの絶対面倒なのに、調べるのを手伝ってくれたりなんかして…
やっぱり宇髄さん、見かけに寄らず…って言ったら怒られそうだけど…
優しい人だなぁって思う。


私も何か見てみようかなと、宇髄さんが探してきてくれた中から一冊選んで開いてみた。

『今昔物語集』

かなり分厚い布張りの本。
手に取ってみると、ずっしりと重くて、重厚感がある。
角は擦れて所々破けており、日に焼けた背表紙の色褪せ具合が時の流れを感じさせた。

醸し出される雰囲気から、どんなものかは何となく想像がつくけれども、折角だからとその本をそっと開いてみた。






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