第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元
お店に入ると、当たり前だけれど必ず人数の確認をされる。
『3名様ですね。
お席にご案内いたします』
わ……3名様だって。
奏真と2人になってからもう聞くことはないと思っていた3名様に、少々胸が躍る。
ソワソワしてしまうのを必死で隠しながら、案内された窓際のボックス席へ座ろうとした。
「ぼくてんげんおにいちゃんのとなりすわるー!」
「あ、奏真っ」
私が止める間も無く、奏真はててっと移動し、ちゃっかり宇髄さんの横に座ってしまった。
どうやら奏真は宇髄さんをえらく気に入ったみたいだ。
「宇髄さん、すいません…」
「いいぜ、構わねぇよ」
宇髄さんは「ここがいいのか?」と奏真の頭をポンと撫でると、奏真は「うん!」と元気よく返事をした。
せめて荷物だけでもと宇髄さんの画材道具達を私の席の隣に置いた。
「ありがとな」と言った宇髄さんは凄く爽やかで、そんな顔で微笑まれると…
さっき自覚した恋心が私の心臓を高鳴らせる。
どきどきし過ぎて宇髄さんを直視出来ない!
思わずぱっと顔を逸らしてしまった。
「ママ、おねつあるの?」
「え?」
「おかおがあかいよー?」
「ほんと⁈あれ、お部屋が暑いかなぁ⁈」
子供って意外と良く気が付く。
私は慌てて手をうちわのようにしてパタパタと振ってみた。
あっついの?と奏真は首を傾げ、宇髄さんは私の様子に可笑しそうにくつくつと笑った後、特に気にする風でもなく「ほら、好きなの選べよ〜」とメニューを広げた。
ご…誤魔化せたかな…?