第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元
注文したお子様ランチが到着。
少し遅れて大人の分も運ばれて来た。
「みてみてはたがたってるー!」
「ほんとだ!すごいねぇ」
「ママ!おさらもすごいよ!」
子供の喜ぶ姿は純粋で微笑ましいな。
こっちまで嬉しくなってくる。
「お子様ランチなんて見たのガキの頃以来だなぁ。へぇ、新幹線のプレートか、最近のはすげぇなぁ」
「しんかんせん…??」
「見た事無いか?新幹線はなぁ、そこら辺の電車なんかよりもっと速ぇぞ、派手になぁ!」
「はでにー?のりたーい!」
あれ、もしやこれは…
「んじゃぁ今度乗りに行くか!」
「いくー!」
「宇髄さん…!」
やっぱり!
「ただ乗るだけじゃ勿体ねぇ!新幹線乗ってどっか遊びにでも行くか!」なんて言うもんだから、奏真もノリノリになってしまい…
結局またあれよあれよと言う間に遊びに行く約束をしてしまった。
「う、宇髄さん…」
「ん?なによ?」
「そんな…いいんでしょうか…?」
遊びに行きたくないわけじゃない。
でも、ここまでしてもらう理由もない。
だけど、私がここで断ったら奏真がガッカリするかもしれない。
どうしたらいいのか分からない。
そんな私に宇髄さんはまたあの優しい笑顔をくれる。
「さっきも言ったろ?俺がそうしたいんだよ。
俺に遠慮なんかすんなっての」
ここまでしてくれる理由は、やっぱり私には分からない。
でも嬉しい。
知り合って間もないのにこんなトントン拍子で約束事とか、ちょっと普通じゃない気もするけど、宇髄さんが悪い人じゃないのは、奏真を相手にしてくれてるのを見てもう十分分かった。
「じゃあ、お言葉に甘えて…よろしくお願いします」
「おう!」
宇髄さんは私の返事に満足そうに頷くと、満面の笑みを浮かべた。
その笑顔に釣られて私もふふっ、と笑った。