第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元
「常設展の巡回してきますね」
「はい、いってらっしゃい」
しのぶさんに受付をおねがいし、私は展示場に入った。
展示品に異常が無いか、ゴミは落ちてないか、中には高額な絵画も混ざっているので怪しい人はいないか、チェックしながら回っていく。
今私に恋人はいない。
きっと、もしそういう関係になっても子ども中心になってしまうから、きっと普通のお付き合いは出来ないだろうし…
でも、恋がしたくないとか、そういう風に思っているわけではなくて、こんな私でも好きになってくれる人がいるなら、それは嬉しい。
さっきしのぶさんが言ってた“金曜日の人“が、その…ほんとに、私に少しでも気がある?のだとしたら、それはそれで全然嫌じゃない。
だって、私……
なんだか色々考えながら歩いてて、全然前を見てなかった。
そのせいか、人がいた事に全く気付けなくて、曲がり角で曲がった瞬間……
ーどんっ
「きゃっ!」
「うおっ⁈」
出会い頭に誰かとぶつかってしまった。