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君と紡ぐ恋物語【鬼滅の刃】

第6章 あなたの愛に包まれて*前編* 宇髄天元



短大を卒業した3ヶ月後に、奏真を産んだ。
奏真のお父さんは私と同じ短大の同級生だった。
卒業と同時に一緒に住み始めて、奏真が生まれて、3人で仲良く暮らしてた。

でもある日、それは一変する。

奏真が3歳の誕生日の日。
彼が家を出ていった。


『自由になりたい』


理由はただそれだけだった。
気持ちは分からなくも無い。
私も彼もまだ20代前半。
もう少し遊びたかったのかもしれない。

「いいよ」と言って、私は彼を送り出した。

なんてお人好しなんだろう。

けれど、引き留めたら彼が可哀想だと思ってしまったのだ。
彼には彼の、別の幸せな人生が待っているかもしれないから…

次の日から大忙しだった。
仕事を探さねば、保育園も考えないと。
朝から晩まで休み無く動いた。
まだ小さい奏真を連れて市役所に行ったり、面接に行く為保育園の一時預かりもフル活用した。
預ける度に胸が苦しかった。
離れる時の奏真の寂しそうな顔が頭から離れなかった。

1ヶ月経って、やっと私の仕事が決まった。
子どものいる家庭にとても理解のある職場で、上司も先輩も優しかった。
保育園も偶然空きが出て、無事に預けることが出来た。

一気に環境が変わってしまって、大人に振り回されて、奏真には本当に酷な事をしていると思う。
何も聞いてこないけれど、お父さんも急にいなくなって、不思議に思っているんじゃないかと思う。

不自由な思いはさせたくない。
お父さんがいなくても、寂しい思いはさせないからね。
いつも一緒にいてくれてありがとう。


「ママ、頑張るからね。
 おやすみ、奏真」


静かにベッドから離れ、子供部屋の明かりをそっと消した。



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