第5章 守りたいもの 錆兎
『おのれ…鬼狩りめ!』
ズズッ…と音を立て、切られた鬼の両腕が完全に元の状態に戻った。
「紗夜…」
チャキ…っと日輪刀を構えながら、錆兎が私の名前を呼んだ。
「…何?」
「俺が必ずお前を守る。だから……
後でちゃんと、返事聞かせてくれ」
振り向いた錆兎はニッと笑い、また直ぐ日輪刀を構え直す。
それって……
タッ…と鬼に向かって錆兎が走り出した。
ビュンッと錆兎に向かって勢い良く爪が伸ばされる……が、
『なっ……どこへ行った…⁈』
そこに錆兎の姿は無く……
「こっちだ!」
頭上から声がした。
ハッと見上げると、錆兎は高く高く、上空へ飛び上がっていた。
『そこか小僧!』
上空の錆兎に向かって鬼が針を放つ。
錆兎は針を刀で綺麗に弾きながら落下してきた。
その剣裁きはまるで水が流れるかの如く美しく、その姿に私は思わず見入ってしまう。
「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮!」
ーーーーーザンッ…ー!
鬼の頸が、ゴロンと地面に落ちる。
やがてその姿はボロボロと崩れていった…ーー